併願校とは?失敗しない選び方と受験戦略を徹底解説

併願校とはどういう意味?まずは基本を確認しよう

「併願校」という言葉、受験を前にして初めて聞いたという人も多いと思います。この言葉の意味をきちんと理解しておくことが、受験戦略の第一歩になります。ここでは「併願校」の定義と、なぜ必要なのかをわかりやすく解説します。

併願校の定義

併願校とは、第一志望校と同じ受験シーズンに並行して受験する、複数の学校のことです。「併願」という漢字は「合わせて願う」という意味を持ち、一校だけに絞らず、複数の学校に同時期に出願・受験することを指します。

たとえば、第一志望が開成高校や早稲田大学のような難関校であっても、その一校だけにすべてを懸けるのはリスクが高い。だからこそ、「合格できる可能性が異なる複数の学校」を組み合わせて受けるのが、受験の基本的な考え方です。

併願校は「滑り止め」と呼ばれることもありますが、最近ではその表現はあまり好まれません。第一志望が不合格だった場合でも通える、納得感のある学校を選ぶことが大切であり、「とりあえず受けておく学校」という位置づけではなく、真剣に進学を検討できる学校を選ぶのが理想的です。

第一志望校・併願校・安全校の違い

受験では、志望校を大きく3つのレベルに分けて考えるのが一般的です。それぞれの意味と役割を整理しておきましょう。

種別意味合格可能性の目安
チャレンジ校(第一志望)本命として目指す学校。現時点での実力より少し上30〜50%程度
実力相応校(併願校)現在の学力と近いレベルの学校50〜70%程度
安全校(確保校)ほぼ確実に合格が見込める学校80〜90%以上

この3種類を組み合わせて受験スケジュールを組むことで、万が一チャレンジ校に合格できなかった場合でも、進学先を確保できる安心感が生まれます。表はあくまで目安ですが、自分の模試の偏差値や過去問の結果をもとに、塾の先生や学校の担任と相談しながら決めていきましょう。

「専願」との違いも理解しておこう

専願(せんがん)とは、その学校のみを第一志望として受験し、合格したら必ず入学することを約束する出願方法のことです。一方、併願は複数校を同時に受験でき、合格後にどこに入学するかを選ぶことができます。

私立高校や私立大学の中には、「専願で出願すると優遇される」という制度を設けているところもあります。たとえば、専願であれば合格点が少し下がったり、特待生として認定されやすくなったりするケースがあります。ただし、専願で合格した場合は必ず入学する義務が生じるため、「専願か併願か」の選択は慎重に行う必要があります。


併願校を選ぶタイミングと準備の進め方

「どのタイミングで併願校を考え始めればいいの?」と迷う受験生は少なくありません。早すぎても情報が少なく、遅すぎると焦ってしまいます。ここでは、高校受験・大学受験それぞれのスケジュール感と、準備の進め方を解説します。

高校受験の場合のスケジュール感

高校受験では、中学3年生の夏休み(7〜8月)ごろから本格的に志望校を絞り込み始めるのが理想的です。この時期に夏期講習で実力を確認し、模試の結果をもとに志望校リストを作り始めると良いでしょう。

たとえば東京都の場合、都立高校の入試は2月に行われますが、その前に私立高校の入試が1月末〜2月初旬に集中しています。そのため、12月末までには併願する私立高校を決定し、1月に入ったら出願の準備を進めるという流れが一般的です。

早稲田実業学校高等部や明治大学付属明治高校、青山学院高等部などの人気私立は出願が早期に締め切られることもあるため、学校のオープンキャンパスや説明会には秋のうちに参加しておくことをおすすめします。

大学受験の場合のスケジュール感

大学受験では、高校2年生の秋〜冬にかけて志望校の大まかな方向性を固め、高校3年生の夏以降に具体的な併願校リストを検討するのが一般的な流れです。

国公立大学と私立大学では入試の仕組みが異なり、スケジュールの立て方も変わってきます。国公立を第一志望とする場合、センター試験(現・共通テスト)の結果を踏まえて出願先を決める「センターリサーチ」の時期(1月中旬〜下旬)が、併願校の最終確定に向けた重要なタイミングです。

一方、私立大学を中心に受験する場合は、1月〜2月の入試本番に向けて、出願期間をカレンダーで管理しながら、複数校を計画的に受験することが求められます。早稲田大学や慶應義塾大学、MARCHなどの難関私立は試験日が重なることも多いため、早めの情報収集が不可欠です。

いつから塾や学校に相談すべきか

併願校の選定は、自分一人で決めようとせず、早い段階から塾の先生や担任の先生に相談することが大切です。なぜなら、学校選びには模試の偏差値だけでなく、各校の出題傾向や入試形式、過去の合格実績なども関係してくるからです。

スタディサプリ進路や東進ハイスクールのような大手進学サービスでは、志望校検索ツールや合格可能性診断が提供されており、こうしたツールを活用しながら情報を整理していくのもひとつの方法です。また、「四谷大塚」「河合塾」「駿台」などの大手塾が毎年発表している「偏差値表」や「合格者平均点」も、併願校選びの参考にしてみてください。


高校受験における併願校の考え方

高校受験では、公立高校と私立高校の組み合わせ方が鍵になります。受験システムは都道府県によっても異なるため、自分の住む地域の制度をしっかりと把握しておくことが重要です。ここでは、よくある高校受験の併願パターンを解説します。

公立と私立の組み合わせ方

多くの受験生が採用しているのが、「公立高校を第一志望・私立高校を併願校」とする組み合わせです。公立高校は入試日程が都道府県単位で統一されているため、同じ日に複数の公立校を受験することはできません。そのため、公立1校+私立複数校というパターンが基本的な形になります。

たとえば、東京都であれば「都立西高校(第一志望)+中央大学附属高校(私立併願)+帝京高校(安全校)」のような組み合わせが典型的です。神奈川県であれば「県立横浜翠嵐高校+桐蔭学園高校」という組み合わせを選ぶ受験生も多くいます。

ポイントは、私立の入試日を公立の本番より前に設定し、私立の合格通知を「安心材料」として持ちながら公立入試に臨むことです。精神的な余裕が、本番の実力発揮につながります。

私立専願・私立中心の場合の考え方

公立高校を受けず、私立高校のみを受験する場合も、複数の私立校を受けることで安全網を作ることができます。この場合は、偏差値の異なる3校程度を選ぶのが一般的です。

私立高校には「推薦入試」「一般入試」「単願・併願」など、複数の入試形式が存在します。たとえば、専願推薦で受験すると合格基準が下がる学校も多く、「この学校なら専願でも問題ない」と判断できる場合は、戦略的に専願を活用するのも一つの選択肢です。

内申点と試験点のバランスを考える

高校受験では、多くの都道府県で「内申点(通知表の成績)」と「当日の入試点数」の両方が合否判定に使われます。そのため、自分の内申点の状況によって、有利に受験できる学校が変わってきます。

たとえば、内申点が高い生徒は内申点を重視する学校を選ぶと有利になり、逆に内申点が低くても当日の試験が得意な生徒は、試験点の比重が高い学校を狙うと良いでしょう。中学校の担任の先生や塾の担当者に「自分の内申点でどの学校が狙えるか」を必ず確認してもらうことをおすすめします。


大学受験における併願校の考え方

大学受験は、高校受験以上に複雑な受験パターンが存在します。国公立・私立の組み合わせや、学部・学科の選び方まで考える必要があり、戦略的な計画が不可欠です。ここでは、大学受験における代表的な併願の考え方を紹介します。

国公立と私立の組み合わせパターン

国公立大学を志望する受験生の多くは、「国公立1〜2校+私立3〜5校」という組み合わせで受験スケジュールを組みます。国公立大学の入試は前期・後期に分かれており、最大でも2校しか受験できないため、私立の受験で合格の可能性を広げる戦略が重要になります。

たとえば、「東京大学理科一類(第一志望)+早稲田大学基幹理工学部+明治大学理工学部+東京理科大学工学部」のような組み合わせが考えられます。第一志望の国公立が不合格だった場合でも、進学先が確保されているという状況を作ることが、精神的な安定と試験への集中につながります。

私立大学のみを受験する場合の受験数の目安

私立大学を中心に受験する場合、受験する大学数・学部数は平均して5〜10校程度が目安とされています。ただし、多すぎると試験の移動や体力的な消耗が激しくなり、肝心の本命校に集中できなくなることもあります。

一般的なパターンとして、次のような組み合わせが挙げられます。

  • チャレンジ校:早稲田大学・慶應義塾大学(1〜2校)
  • 実力相応校:立教大学・中央大学・法政大学(2〜3校)
  • 安全校:日本大学・東洋大学・駒澤大学(1〜2校)

上記はあくまで一例ですが、重要なのは「安全校も自分が本当に通える・通いたいと思える大学を選ぶこと」です。「どこでもいい」という気持ちで選んだ学校への進学は、その後のモチベーションにも影響します。学部・学科の内容や就職実績も含めて検討するようにしましょう。

学部・学科の一貫性を意識した選び方

大学受験での併願校選びでは、学部や学科の方向性を揃えることも重要なポイントです。たとえば、法学部志望なのに「合格しやすいから」という理由だけで経済学部や工学部を併願すると、合格しても入学後に後悔する可能性があります。

もちろん、「法学部がない大学だけど、政治経済学部に興味がある」という場合は問題ありません。大切なのは「この学校に合格したら、本当に通う意思があるかどうか」を自分に問いながら選ぶことです。入試科目の相性(例:数学が得意なら数学受験できる私立、英語に強みがあれば英語配点が高い学校など)も考慮に入れると、より効率的な受験計画が立てられます。


失敗しない併願校の選び方5つのポイント

ここまで解説してきた内容をふまえ、実際に併願校を選ぶときに押さえておきたいポイントをまとめます。多くの受験生が陥りがちな失敗を避けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

偏差値だけで選ばない

併願校を選ぶとき、偏差値は大事な指標の一つですが、偏差値だけで決めてしまうのは危険です。入試の出題傾向や試験科目の構成、倍率の変動など、合否に関係する要素は偏差値以外にも多くあります。

たとえば、同じ偏差値帯でも、青山学院大学と立命館大学では試験のスタイルや雰囲気がまったく異なります。自分が得意な科目の配点が高い学校を選ぶと、偏差値的には少し上の学校でも挑戦しやすくなることがあります。過去問を必ず解いて、「自分に合っているかどうか」を確かめることが大切です。

受験日程の重複に注意する

複数の学校を受験するときは、試験日・出願締切日・合格発表日・入学手続き締切日をすべてカレンダーに書き出して管理することが必須です。特に、入学手続きの締切日を見落とすと、せっかく合格を勝ち取っても手続きができなかったという事態になりかねません。

私立高校・私立大学の中には、「入学手続きの締切日に入学金を納入しないと入学権利が消失する」という学校もあります。第一志望の合格発表を待ちながら、「いつまでに手続きをすれば、第一志望の結果を待てるか」を事前に確認しておきましょう。塾の先生や受験情報サイトを活用して、スケジュール管理を徹底してください。

オープンキャンパスや説明会に足を運ぶ

「併願校だから別にいいや」と思って、下調べをほとんどしないまま受験するのはもったいないことです。オープンキャンパスや学校説明会に実際に参加することで、学校の雰囲気や校風、設備などを直接確認できます。

もし合格した場合に「通えるか・通いたいか」を判断するためにも、事前に足を運んでおくことはとても重要です。また、説明会で得た情報が志望動機の作成や面接対策にも活きることがあります。「この学校に通う自分」をリアルにイメージできるかどうかが、モチベーション維持にもつながります。

経済的な負担も忘れずに考慮する

複数の学校を受験する場合、受験料・交通費・宿泊費(遠方の場合)・入学金などの経済的な負担が思いのほか大きくなることがあります。特に私立大学は一校あたりの受験料が3万〜3万5千円程度かかることが多く、5校受験すれば15〜17万円以上になることも珍しくありません。

さらに、複数校に合格した場合の「入学金の支払い」問題もあります。第一志望の結果を待ちながら安全校に入学金を払う必要が生じるケースがあり、その金額は20〜30万円程度になることもあります。家族と事前に費用面についてしっかりと話し合い、受験校数や受験パターンを決めることを強くすすめます。


よくある疑問:併願校に関するQ&A

受験生やその保護者の方からよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。「自分もこれが気になっていた」というものがあれば、ぜひ参考にしてみてください。

Q. 併願校は何校受ければいい?

受験校数に明確な正解はありませんが、高校受験では2〜4校、大学受験では5〜8校程度が目安と言われています。少なすぎると万が一のリスクに対応できず、多すぎると体力・費用・勉強時間の分散につながります。

大切なのは「数」よりも「質」です。「この学校なら入学してもいい」と思える学校を選ぶことが、後悔のない受験結果につながります。特に大学受験では、入試方式(共通テスト利用・一般・推薦など)を組み合わせることで、少ない受験校数でも効率的に合格を確保できることがあります。

Q. 滑り止めって失礼な言い方?

「滑り止め」という言葉は、受験生の間でよく使われてきた表現ですが、その学校に対して失礼に当たると感じる方もいます。「安全校」「確保校」という言い方の方が、その学校への敬意が伝わる表現です。

また、「滑り止め」として選んだ学校でも、その後の人生で大きく活躍する人はたくさんいます。日本大学や帝京大学、関西大学など、いわゆる「中堅私立」と呼ばれる大学でも、しっかりとした教育環境と就職支援が整っています。「どこに入学したか」より「入学後に何をするか」の方が、長い目で見ればずっと重要です。

Q. 推薦・総合型選抜(AO)と一般入試は併願できる?

推薦入試や総合型選抜(旧AO入試)は、学校によって「専願のみ」「他校との併願可」など、ルールが異なります。特に私立大学の学校推薦型選抜(指定校推薦)は、原則として専願であり、合格した場合は必ず入学しなければなりません。

一方、公募推薦や総合型選抜は学校によって併願が認められているケースもあります。出願前に必ず募集要項を確認し、ルールを守った形で出願することが大前提です。ルール違反は合格取り消しにつながることもあるため、絶対に注意しましょう。

Q. 併願校に合格したけど、行きたくない場合はどうすればいい?

入学手続きの締切前に第一志望の合格が確定した場合は、入学辞退の手続きを期日内に行うことで、多くの場合は問題ありません。ただし、すでに納入した入学金は返金されないことが一般的です。

入学辞退の手続きを怠ると、その学校や他の受験生に迷惑をかける可能性があります。合否にかかわらず、連絡や手続きは期日を守って誠実に行動することが大切です。辞退手続きの方法は各校の入学案内に記載されているので、合格通知が届いたらすぐに確認するようにしましょう。


まとめ:後悔しない受験のために、早めに動こう

この記事では「併願校とは何か」という基本的な疑問から、選び方のポイント、よくある失敗例までを解説しました。最後に、重要なポイントをまとめて振り返ります。

  • 併願校とは、第一志望と並行して受験する学校のこと。チャレンジ校・実力相応校・安全校の3段階で考えるのが基本。
  • 高校受験は夏〜秋、大学受験は2年生の冬〜3年生の夏から準備を始めるのが理想的。
  • 偏差値だけで選ばず、入試科目の相性・日程・学費・校風を総合的に判断する。
  • 「本当に通える・通いたい学校」を選ぶことが、受験後の後悔を防ぐ最大のポイント。
  • 塾・学校の先生、受験情報サービスを積極的に活用して、情報収集を怠らない。

上記の点を一つひとつ意識しながら、計画的に受験準備を進めてください。受験は情報と戦略が大きな武器になります。早めに動き出すことで、余裕を持って本番を迎えられます。

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