航空業界、運輸業界の中で初めて「エコ・ファースト企業」に認定され、環境大臣に対し京都議定書の目標達成に向けた地球温暖化対策などを約束する全日本空輸(ANA)。同社が今年10月から国内線全線で開始したカーボン・オフセットプログラムを中心に発表が行われた。
このプログラムでは、飛行機が排出するCO2量から乗客1人当たりの量を算出。その分のCO2を吸収するための植林活動に必要な資金を、乗客自身が自主的に負担することができる。ANAは音楽家の坂本龍一氏が発起人を務めるオフセット・プロバイダー、一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ)と提携し、国内プロジェクトを通じたオフセッ
ト・クレジット(J‐VER)を活用して国内の森を育てていく。
その参加方法は、至って簡単で、搭乗口に用意されたポスターにあるQRコードを携帯電話で読み取り、搭乗便のCO2排出量を表示。カーボン・オフセットを申し込んでクレジットカードで決済すると、画面に証明書が表示されてオフセットが完了する。
上/ミッドタウンの「d-labo」にて開催。左/講師のハセベケンさんはサポートを受ける企業とつくったグッズを紹介。右中/携帯電話でカーボン・オフセットプログラムを体験。右下/コカ・コーラとg r e e n
birdがコラボレーション。
この日発表を行ったANA、CSR推進室の渡邊伊知郎さんは、「ANAのCO2削減に向けた対策を理解し、信頼を得たうえで、このプログラムに参加してほしい」と話す。その具体的な取り組みとして「ANAグループ エコロジープラン2008年~2011年」を紹介。グループ全体で排出しているCO2量の98%を占める航空機燃料の低減目標を設定するほか、省エネオペレーションのための数々の対策を打ち出している。環境面で世界のリーディング・エアラインを目指すANAの今後の動向が見逃せない。
またこの日、講師として、東京都渋谷区区議でNPO法人greenbird(グリーンバード)代表のハセベケンさんがレクチャーを行った。2002年、東京・表参道の商店街のゴミ拾いをきっかけにスタートした同団体の清掃活動は、今や全国30か所、海外2か所にまで広がっている。若者たちの間にボランタリーマインドが根づくまでの過程やコツを語った。
「いろいろな企業の応援を受けてグッズなどをつくりながらゴミを拾い、これまでの環境活動とは違うやり方を意識してクールに“ポイ捨てやめようぜ”というメッセージを伝えることで、人が集まるようになりました」
清掃活動という地味ながらも自分たちができることを、コツコツとやり続けること。それが今につながり、未来にもつながって新しい局面を迎えていく強い予感を評議会メンバーに伝えた。
今月のDATA
国内CO2排出量の航空業界のシェア
私たちが日々排出しているCO2。工場など産業部門からの排出が最も多く、運輸、商業などの業務、家庭、発電所などのエネルギー転換部門の順に続く。2007年度の日本全体のCO2排出量に対して国内航空輸送が占める割合は、約0.8%。量にすると、約484万トンのCO2
を排出している。ANAは航空会社として世界で初めてCO2総排出量目標を設定し、国内線CO2排出量を2008年度から2011年度までの平均で470万トン以下にすることを掲げる。その対策として新世代の“省エネ航空機”の導入を検討している。大量輸送から地球にやさしい
輸送へと、航空業界も変革期を迎えているのだ。