おしゃれを楽しみたい、イメージを変えたい──。そんな願いを叶えてくれる美容室には、
毎日多くの人が訪れる。ヘアカットだけでなく、パーマをかけたり、カラーリングをして髪の色を変えたりする人も多い。
以前から環境への影響が懸念されていた、美容室で使われるシャンプーやヘアカラー液、パーマ液の廃液。全国に約190店舗を展開する美容室『EARTH』は、青山学院大学の福岡伸一先生と共同でこの廃液の問題に取り組んでいる。広報PRを担当する杉田麻生子さんが、廃液問題の詳しい経緯や今後のエコプロジェクトについて説明した。
上左/『EARTH』発行のフリーペーパーで環
境対策を紹介。上右/発表を行う杉田さん。中/企業姿勢を示す「グリーンアース宣言!」のロゴ。下/会場はミッドタウン内の「d-labo」。
また美容室『EARTH』は廃液問題のほかにも、地球にやさしい美容室を目指してLED照明の導入を予定していると発表。上野店を例にその導入効果を説明した。
2007年、福岡先生が美容室『EARTH』で使用したカラー剤やパーマ剤を大学の研究室に持ち帰って実験を行った結果、2つの有害物質が環境に放出されていることが明らかになった。一つはパーマ液に含まれる変性剤、もうひとつはカラー剤の色素。どちらも微生物に悪影響を及ぼすもので、見逃すわけにはいかない。
そこで福岡先生は、粉末状の粒子に色素を吸着させて廃液から除去する解決法を提案。『EARTH銀座店』で浄化実験を繰り返し行い、家庭でも使用できるよう排水口にこの粉末状の粒子を投入する方法も考案した。そして今年2月、変性剤を無害化する成分も含む排水・汚水用バイオ洗浄剤「ソフト エコ マテリアルズ」が完成。上野店でテスト導入を行い、今年9月から段階的に全店導入する予定だ。
また美容室『EARTH』は廃液問題のほかにも、地球にやさしい美容室を目指してLED照明
の導入を予定していると発表。上野店を例にその導入効果を説明した。
仮に現在の照明をすべてLEDに切り替えた場合、年間消費電力量は従来の4万8485 kWから1万7987 kWに抑えられると想定。これは約5年で初期費用が回収できる計算で、LED照明の寿命が約10年間であることを考えると従来の照明にかかった交換・廃棄費用も節約することができる。
美容室『EARTH』では今後、地球環境への負荷を軽減し、コストの面からも非常に有効であるこの取り組みを9月11日オープンの菊名店から、徐々に導入する予定だという。杉田さんは「影響力を考えると、大型店が導入することに意義を感じます。また、大手が
導入しないと業界がなかなか動かないので、『EARTH』が導入することは大切なことだと思います」と強い決意を表した。
さらに、太陽光発電や水の浄化システムなどを導入した完全なエコ店舗をつくることを計画しているという美容室『EARTH』。今後の動向が見逃せない。
今月のDATA
ソフト エコ マテリアルズの捕捉率(吸着率)
洗髪時に流される廃液には、パーマ剤に含まれる変性剤やカ
ラーリング剤に含まれる有害色素、さらには頭皮から出る女性
ホルモンなどの有害物質が含まれる。ソフト エコ マテリアル
ズは、植物性微生物が体内に蓄えたパラミロンという極小炭
水化物を加工したもので、これがシンクやS字パイプで廃液と
混ざり合うことで有害物質を捕捉(吸着)し、最終的に下水処
理場の浄化槽の中で物質化される。実験室の模擬テストで
は、廃液の量や滞留時間にもよるが、補足率(吸着率)は20
%から最大70%! 約5.の廃液にわずか1スティック(10g)。
美容室や家庭での利用が広まることが期待される。